昨日の夕方、おーたけが話をしに来た。とても大事な話。大事な話をしていたら、ロクローが泣きながら事務所にやってきた。「婆ぁばが死んじゃった」って。婆ぁばっていうのは妻の祖母で、ホームに入るまでは向かいの実家に住んでおり、ロクローにとっては8年の人生で最も身近な人の死だ。
おーたけには謝って帰ってもらった。しばらくすると妻がトキローを空手道場から連れ帰ってきた。トキローも目が真っ赤で泣きはらしていた。4人でホームに向かう。
ベッドの上で婆ぁばは手を前で組み、花を抱いていた。妻の母は「さっきまでまだ温かかったのに」と言いながら婆ぁばの頬をさわった。ベッドのそばにはホームの友達が次々と最期の会話をしに訪れた。妻がベッドのスイッチを触ったら婆ぁばの足がいきなり動いて部屋の空気が和んだ。親戚の叔父さんと奥さんがやってきて、葬儀屋さんがやってきて、婆ぁばは自宅に帰ってきた。
葬式のスケジュールがうまくいかず、妻の父が受話器に向かって怒っている。家の前では寿司屋がバイクで転けて、持ってきた寿司がバラバラになった。なにもかも悪戯好きの婆ぁばの仕業ということで片づけられた。
さんざん泣いた子どもたちも、なんとなく落ち着いたみたい。ずっと無視してたケータイには仕事のメールが何通も届いていた。

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